白菜:アブラナ科
初めて白菜を育てる方にもおすすめの、畑での栽培マニュアルです。
種のまき方から定植、追肥、害虫対策、収穫時期までを詳しくまとめています。
コツさえ押さえれば、家庭でもしっかり巻いた白菜を収穫することができます。

種まき方法
白菜の栽培は、まず「種まき」から始まります。
ここをしっかり押さえることで、その後の生育がグッと楽になりますよ。初心者の方でも安心して取り組めるように、わかりやすく説明していきますね。
まず、白菜は涼しい季節に育てる野菜なので、種まきの時期がとても大切です。
地域によって多少違いはありますが、一般的には8月中旬から9月中旬ごろが種まきの適期です。
暑さが少し落ち着いた頃が目安ですね。
では、実際の手順を見ていきましょう。
土づくりをしておこう
種をまく前に、まずは土の準備です。白菜は肥えたふかふかの土を好みます。
事前に苦土石灰を混ぜて酸性を中和し、1週間ほど寝かせてから、堆肥や元肥(最初に入れる肥料)をすき込みましょう。
家庭菜園の畑やプランター、どちらでも栽培できます。
種をまく間隔と深さ
白菜は最終的に大きく育つ野菜ですから、間隔を広めに取るのがポイントです。
畑なら1つの株あたり40〜50cmほどの間隔を目安にしましょう。
プランターの場合は、60cm以上の大型プランターを使い、1〜2株が限度です。
1か所につき3〜4粒の種を点まき(まとめてまく)にします。
土に深さ1cmほどのくぼみをつくり、その中に種を入れ、軽く土をかぶせて手でやさしく押さえます。押さえることで、種と土がしっかり密着し、発芽しやすくなります。
水やりはたっぷりと
種をまいたあとは、たっぷりと水をやりましょう。
発芽するまでは、土の表面が乾かないように毎日様子を見て、乾いていたらこまめに水やりをします。ただし、やりすぎて水が溜まってしまわないよう注意してくださいね。
発芽後の間引き
種まきから4〜5日ほどで芽が出てきます。
元気な芽を育てるためには、間引き(芽を間引くこと)が必要です。
はじめは、本葉が2〜3枚になった頃に1か所につき2本にし、最終的には1本だけを残すようにします。
このとき、抜かずにハサミで根元を切るようにすると、周りの苗を傷つけずにすみますよ。
苗を買ってきた場合の定植方法
苗から始める白菜栽培は、時間と労力を節約できる方法です。
以下のステップで丁寧に定植しましょう。
ステップ1:植え付けの時期を確認する
苗の定植時期は、9月上旬から中旬が最適です。苗が本葉4〜5枚の頃が植えどきです。
遅れると気温が下がりすぎて、結球しにくくなるため、タイミングが大切です。
ステップ2:畑の準備をする
種まきと同じように、定植の2週間前に苦土石灰を混ぜ、たい肥と元肥を入れて土を作ります。
黒マルチを使うことで雑草を抑え、保温効果が得られます。
穴あきタイプを使えば位置も決めやすく、初心者にもおすすめです。
ステップ3:植え穴をあける
マルチの穴または指定位置に、苗のポットがすっぽり入る深さの穴を掘ります。
深すぎると根腐れの原因になるので、ポット苗の土の高さと地面が平らになるように調整します。
ステップ4:苗を優しく植えつける
苗をポットから取り出し、根鉢を崩さないようにそっと植えつけます。
土を軽く押さえながら固定し、植えた後はたっぷりと水を与えてください。
ステップ5:活着を見守る
植え付け後数日は、直射日光を避けて寒冷紗などで覆いましょう。
根が土にしっかりなじむ(活着)までの間、水切れや乾燥に注意します。
白菜の苗はデリケートですが、丁寧に扱えばしっかりと育ってくれます。
初めての方は、丈夫な苗を選ぶこともポイントです。
栽培管理とマルチ
白菜をしっかりと育てるには、種まきのあとの栽培管理がとても大切です。
特に、水やり・追肥・防虫対策といった日々のお世話が、収穫の成否を左右すると言ってもいいほどです。
水やりは控えめでOK。でも乾燥はNG
白菜は、あまり水をやりすぎると根腐れしてしまうことがあります。植え付けてしっかり根付いたあとは、基本は自然の雨にまかせて大丈夫です。
ただし、土の表面が乾いてひび割れるほどカラカラの時は、朝か夕方にたっぷり水をあげましょう。
特に、結球(葉が巻いて玉になること)が始まるころは、急な乾燥で生育が止まってしまうことがあるので、注意が必要です。
肥料は2回の追肥が基本
白菜はたくさんの栄養を必要とする野菜です。
最初に入れた元肥だけでは足りなくなるため、追肥(途中で肥料を追加すること)を行いましょう。
まず1回目の追肥は、本葉が5〜6枚に育ったころが目安です。2回目は、葉が巻き始める少し前(植え付けから1か月後くらい)に行います。
株のまわりの土を軽くほぐし、根を傷つけないように気をつけながら、肥料をまわりにまいて土に混ぜてあげましょう。
追肥と同時に、土寄せ(土を株元に寄せる作業)をしておくと、株が倒れにくくなり、根も張りやすくなります。
防虫対策に「マルチ」が活躍
「マルチ」とは、土の表面を覆うシートのこと。これを使うことで雑草を抑えたり、土の乾燥を防いだり、害虫の侵入を減らすことができます。
白菜の場合は、黒いビニールマルチがよく使われます。太陽の熱で地温が上がりやすく、初期の成長を助けてくれるので、初心者にもおすすめです。
使い方はとても簡単。畝(うね)を立ててから、植え付け前にマルチをピンと張り、株を植える部分だけに穴をあけるだけです。
穴の位置を間違えないように、事前に植える間隔を測っておくと安心です。
また、マルチを使っておくと雨の後の泥はねも防げるので、葉が汚れにくく病気のリスクも下がります。
害虫に注意!ネットの活用も
白菜はアオムシやヨトウムシといった葉を食べる害虫の被害を受けやすい野菜です。マルチで地面からの虫はある程度防げますが、空から飛んでくるチョウなどの産卵には注意が必要です。
そこでおすすめなのが「防虫ネット」です。苗を植えたあとに、トンネル状にネットをかぶせておくだけで、虫が葉に卵を産むのをかなり防げます。なるべく早い段階からネットを張っておくと安心です。
こうして丁寧に栽培管理をしていけば、白菜はきっと立派に育ってくれます。毎日のちょっとした気配りが、おいしい白菜につながるんですね。マルチやネットは最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、使ってみると「やってよかった!」と思えるアイテムなので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

プランターでの管理方法
家庭菜園ではプランター栽培も人気です。以下のポイントを押さえれば、立派な白菜が育ちます。
サイズと土の準備
深さ30cm以上、直径40cm以上の大型プランターを使いましょう。
土は市販の野菜用培養土でOKですが、元肥を混ぜておくとより良いです。
日当たりと置き場所
日光が5時間以上当たる場所に置きましょう。
風通しの良い場所にすることで病気の予防にもつながります。
水やり
乾燥しやすいので、毎日朝に土の表面をチェックし、乾いていればたっぷり水を与えます。
底から水が出るまでしっかり行うことがポイントです。
肥料管理
液体肥料を10日に1回程度与えます。
実が育ち始めたら、追肥は週1回に増やします。
間引きと結球サポート
苗が混み合ってきたら1本だけを残し、外葉を軽くまとめてひもで縛ると、きれいに結球しやすくなります。
白菜の農薬管理サイクル(例)
白菜はとっても育てやすい野菜ですが、虫や病気に悩まされることもあります。
そこで、今回は家庭菜園でも使える農薬を取り入れた、白菜の農薬サイクルをわかりやすくご紹介します。
農薬の種類や使い方をしっかり把握しておけば、健康的な白菜を育てることができますよ。
【害虫・ダニの農薬サイクル(共通)】(例)
| 散布時期 | 使用農薬(成分) | 対象 | 散布間隔の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 定植直後 | スピノエース顆粒水和剤(スピノサド) | アオムシ、コナガ | 7~10日 | 低毒性で有機栽培にも利用可。初期防除に効果的 |
| 生育中期 | プレバソンフロアブル5(クロラントラニリプロール) | コナガ、アオムシ、ハスモンヨトウ | 10日 | 速効性があり、耐性虫対策にも効果 |
| 結球初期 | ディアナSC(ピリプロキシフェン) | アブラムシ類 | 7~10日 | アブラムシの繁殖を抑える働きがある |
| 収穫前7日以上 | フェニックス顆粒水和剤(フルベンジアミド) | ハスモンヨトウ、コナガ | 10~14日 | 安全日数7日で収穫直前でも使用可 |
※出来るだけ違う農薬でサイクルするようにしてください
※あくまでも参考例としてご覧ください
【病気の農薬サイクル】(例)
| 散布時期 | 使用農薬(成分) | 対象 | 散布間隔の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 定植後 | アミスター10フロアブル(アゾキシストロビン) | 白さび病、黒斑病 | 7日~10日 | 広範囲の病害に対応。早めの予防散布が効果的 |
| 生育中期 | ジマンダイセン水和剤(マンゼブ) | 黒斑病、白さび病 | 7~10日 | 抵抗性がつきにくい接触型殺菌剤。葉面保護に優れる |
| 結球前 | ダコニール1000(クロロタロニル) | 菌核病、べと病 | 10日 | 湿気が多くなる時期の予防に効果的 |
| 結球期~収穫前 | ランマンフロアブル(シモキサニル) | べと病 | 10日 | 収穫直前まで使える予防剤。天候不安定時に便利 |
※出来るだけ違う農薬でサイクルするようにしてください
※あくまでも参考例としてご覧ください
農薬を使うときの注意点
家庭菜園で農薬を使うときは、以下のポイントを必ず守りましょう。少しの工夫で、作物にも自分にも優しい管理ができますよ。
1. 使用回数を守る
農薬ごとに「使っていい回数」が決められています。たとえば、スピノエースは2~3回まで、プレバソンは2回程度が目安。ラベルに記載されている使用回数を必ず確認してください。
2. 安全日数に注意する
安全日数とは「最後に農薬をまいてから収穫できるまでの期間」です。
白菜の場合は、農薬によって収穫7日前までのものが多いので、収穫前の散布は慎重にしましょう。
3. 散布時の工夫
風のない日を選び、朝や夕方の涼しい時間帯に散布すると効果的です。
長袖・長ズボン・マスク・手袋を忘れずに着用してください。噴霧器の圧力が強すぎると葉が傷むことがあるので、やさしく散布しましょう。
4. 農薬の保管方法
開封後の農薬は直射日光の当たらない涼しい場所で保管してください。子どもやペットの手が届かないところが安心です。使用期限が切れた農薬は使わないようにしましょう。
白菜はコツさえつかめば、とても育てやすくて美味しい野菜です。病害虫とうまく付き合って、元気な白菜を育ててくださいね!
無農薬で育てたい方へ
木酢液やストチュウ(酢・焼酎・唐辛子)を使ったスプレー、重曹スプレーなどが代替策として人気です。
ただし、効果はやや弱めなので、こまめな観察がカギになります。
散布時の注意点
必ず風のない日に散布し、朝か夕方の気温が落ち着いた時間に行います。
ゴーグルや手袋など保護具の着用も忘れずに行いましょう。
※農薬には使用回数制限があるのでご注意ください
収穫について
白菜の収穫タイミングは、品種により60〜90日程度です。
葉がしっかり結球して硬くなり、外葉が少し持ち上がってきた頃が収穫適期です。
収穫方法は、株元の根を包丁で切るか、手でねじって引き抜く方法があります。
葉が傷まないように丁寧に扱いましょう。
晴れた日の午前中に収穫すると、保存もしやすくなります。
収穫後は新聞紙で包んで冷暗所に置くと、1〜2週間程度保存可能です。

まとめ(全体の振り返り)
白菜栽培は、種まきや苗の定植、水やり、マルチ活用など、基本を守れば初心者でもしっかり収穫できます。
プランター栽培でも挑戦できますし、農薬管理を適切に行えば病害虫も怖くありません。
無農薬で育てたい方も、木酢液やストチュウなどを活用することで、安心して栽培できます。
白菜の甘みとシャキシャキ感は、家庭菜園ならではの楽しみです。
手間をかけた分だけ、美味しさが増す白菜。
ぜひ今年は、ご自宅での栽培にチャレンジしてみてください。




コメント